■人間福祉学とは、どういう学問ですか?

 人間の幸福に関わるさまざまな問題を、理論的・実践的に追及する学問です。個人が集団や社会の中でより良く生きようとすると、心と身体をめぐる問題が数え切れないほど生じてきます。それらの問題を、胎児期・乳幼児期・学童期・思春期・青年期・成人期・壮年期・老年期、そして死に至るまでの人間の生涯発達の各過程において探っていきます。


■人間福祉学が日常生活で活かされるのは、どの様なシーンですか?

 人間の生涯発達の各過程における諸問題を追求してみることは、青年期にある皆さんが自らの生きる意味や生き方について、時間的な流れを視野に入れつつ、さまざまに考えるときに大いに役立つことでしょう。もちろん、卒業後勤める保育園・幼稚園・施設・企業などで出会う子どもたちや人々が抱えている、「人間として」関る諸問題に対処する際にも活かされます。


■専門科目について教えてください。どのような勉強をするのですか?

 主に、乳幼児の造形表現のあり方と指導方法を探求します。特に、この活動を方向づけ、表現の内容を決定する感性のはたらきに焦点を当てて考えていきます。そのために、感性と造形表現活動の発達の過程とメカニズムを考察することに力を入れています。また、生涯発達の視点から美術鑑賞も行い、表現そのものの考え方の幅を拡げ、質を高めます。


■専門科目を教授する中で、心がけていることはありますか?

 表現活動は、時代や地域、あるいは特定の個人が見つけて定めた内容や方法を一方向的に身に付けることによってなされるものではありません。それは、個(別的特)性にしたがって新しく創造されるものですから、内容もそれを表すための方法も各自が探し出すものです。ですから、子どもの制作指導の過程全般を学生が主体的に発想・計画して進めていくようにしています。


■在学生に伝えたいことを教えてください。

 世の中の動きに常に注目していることは大切ですが、それは客観視するのに留め、自分の気持ちや意識を簡単に上っ面だけの流れに従わせないでください。自分が本当に一生かけてやり遂げたいと考えたことは(これについても、本当にそう思うのか吟味が必要ですが)、たとえ回り道をたどることになったとしても追求しつづけてください。


■これから人間福祉学を勉強する学生に伝えたいことを教えてください。

 人間福祉学は、人間幸福の追求という極めて実践的な問題を、極めて具体的な場において、その独自の内容と方法によって追求するユニークな学問です。これまでのあらゆる学問大系とこの間積み重ねられてきた成果を、縦横に活用しつつも、一方でこれまでと全く視点の異なった大胆な発想と構成によって自由な体系化を目指すことができるやりがいのある学問です。


■これからの社会で、人間福祉学はどのような存在になるのでしょうか?

 人間福祉学はその学際的な性質のため、さまざまな学問の寄り合い世帯のような様相を示しています。ですから、全体としてはもちろんのこと、各学問領域もまだその体系を成していません。「人間福祉」という立場で各研究領域が成立し、それを通じて「人間福祉学」という体系化が進めば、その役割は社会にとって不可欠な、そして極めて重要なものになるでしょう。


■立正大学社会福祉学部の魅力は何ですか?

 本学部には、人間福祉学科のほかに社会福祉学科があります。ようやく全体像がつかみかけてきた社会福祉学という学問が、より本質的な体系化に向けて再構築されるためにも、社会福祉学と人間そのもののあり方を問う人間福祉学との学問領域が相互関係を保ちつつ発展する必要があります。本学部は、この意味で大きな可能性を秘めた学科構成になっていると思います。


■熊谷キャンパスの魅力は何ですか?

 夕方あたりに、「ユニデンス(14階建の学生寮)」の1階にある食堂で食事を終え、樹木に包まれた学内を散策しながら研究室に戻るときなどには、年中合宿しているかのようで豊かな気分になります。学内では、腰を据えてじっくりと勉学に励み、必要に応じて学外へ繰り出して研究材料を集めてくることができる、理想的なキャンパスだという気がしています。


伝えたいこと

> 梅澤 啓一 教授

> 大平 滋 教授

> 迫田 圭子 教授

> 石井 富美子 教授

> 大竹 智 教授


図画工作
 乳幼児期および学童期における感性と造形表現活動の発達のメカニズムについて、制作を通して考える。これを通じて、造形表現活動の意味と役割、そのあり方や技術・知識を学ぶ。同時に、実習の際の視点も明確にする。また、時代・地域・子どもをキーワードにして、鑑賞活動を含めて感性と造形表現のあり方について考える。 具体的には、講義と制作を交互に行っていく。講義は、乳幼児期・学童期の子ども達の様子をビデオ・資料で見ながら、彼らの感性と造形表現活動の発達のメカニズムを、発達年齢にそって考える。そして、各講義の次の週の何回かで、各発達年齢の子どもを対象とした制作を考案し、実際に行い、その年齢に特徴的な技術・知識を学ぶと共に、造ったものでの遊び方や活用方法などについて考察する。


感性福祉論
感性福祉論は、感性(特にその発達)が人間の生涯の幸福にいかに関わり、いかに働き・役立ち得るかという問題を追究する研究領域である。この領域の概説及び今後の課題・方法論の検討を内容とした講義とそれについての論議を行ない、この研究領域の入門としての理解を深める。